あたまの中身は線路だらけ

ダイヤ論、配線論など鉄道に関する話題を語ります。鉄道車両のサイドビューを模した色々使える小さな画像「TrainChip」の公開も。

【TrainChip】小田急7000形ロマンスカー「LSE」

※TrainChipについてはこちら

ほかの車両 参考資料 pixiv

なんと18年ぶりの新型ロマンスカー

1980年に登場。ロマンスカーとしては3100形NSE車以来実に18年ぶりの新車だった。
f:id:kazuhikogoto3694:20170413015905p:plain
当時NSE車と3000形SE車の二本立てだったロマンスカーだが、NSE車が1本検査入場してしまうとその代替にSE車2編成を重連で充てなくてはならなかった。
この場合NSE車よりも輸送量が小さく、しかもSE車には前面展望席がないのでサービス格差も大きかった。
現場はNSE車と同等の輸送量、そして前面展望席を持つロマンスカーの増強を願っていたのである。

そういう背景から基本的な仕様はNSE車に基づいたものの、デザインはよりシャープになったほか床面の高さを通勤車同等まで上げ、さらには客用扉・座席転換・前面愛称表示と自動化を図った。
愛称の「LSE」は「Luxury(贅沢な) Super Express」の略。

幻の国鉄線乗り入れ用LSE

1982年12月には新型車両開発研究の一環として当時の国鉄に貸しだされ、東海道線大船~熱海を試験走行した記録をもつLSE車だが、実はそれ以外にも国鉄乗り入れの構想があったことは意外に知られていない。
f:id:kazuhikogoto3694:20170413015928p:plain
実は当時、御殿場線直通連絡急行*1「あさぎり」に使用しているSE車が投入から15年、新造からは25年が経過して老朽化が進んでいたため代替案の一策*2としてLSEを編成短縮して導入する構想があった。

しかしこれは当時の国鉄が難色を示し実現しなかった。
当局もさることながらまだ労働組合の影響も強かった時代、現場の抵抗は凄まじいものだったようだ。
結局「あさぎり」の車両置換えは分割民営化後、1993年投入の20000形RSE車(詳細)まで待たされることになった。
上の画像は、もし乗り入れが実現していたら…との想像で作ってみたもの。
SE車は5両編成だったが、LSEでそこに収めようとすると新形式車*3を起こす必要があるので既存形式のみで間に合う6連とした。
こうなると6連どうしの重連や11連との併結を構想してみたくもなるが、そうなるとせっかくの美しい車体デザインをぶち壊しにしてしまいかねないのでそれはやめておいた。
もしかしたら、そういう点も危惧されて実現しなかったのかもしれない。

時代の流れで…

LSE車は登場以来大きな事故に見舞われることもなく、順調に活躍を続けてきた。
一方で1987年には10000形HiSE車(参照)、1995年には30000形EXE(参照)が登場し、ロマンスカーのおかれる環境も大きく変化していくなかでLSE車もいよいよ車体更新の時期を迎えた。
f:id:kazuhikogoto3694:20170413015938p:plain
なんとびっくり、外観がHiSE車に準じたものに様変わりした。
どうやら「前面展望席付きのロマンスカー」としてのイメージを統一するためのものだったらしい。
が、そもそもこのカラーリング前提でデザインされたHiSE車とちがい、LSE車のこの色は「なんだかなぁ…」という印象が最後まで拭えなかった。
(結局それが、後年の顛末につながっていく。)
f:id:kazuhikogoto3694:20170413015948p:plain
翌年には小田急伝統の山百合マークが復活し、売店部分の5本ラインと置き換わった。
f:id:kazuhikogoto3694:20170413015957p:plain
2000年代になると、パンタグラフシングルアーム形に変わった。

伝統復活、そして引退へ…

2007年、小田急開業80周年とSE車就役50周年を記念し、登場当時のデザインが1編成だけ復活した。
f:id:kazuhikogoto3694:20170413020007p:plain
なぜか、前面展望席の窓枠だけが更新後の黒色のままだったが。

当初この塗装は1年間だけの限定企画のはずだった。しかし約束の1年をすぎてももとの色に戻る気配はなかった。

そうこうするうちに5年が経過した2012年、もう1編成も登場時のデザインに戻されたうえ1編成が退役すると発表された。
つまり、本線に残った2編成はいずれも登場時のデザインに回帰したのである。
f:id:kazuhikogoto3694:20170413020016p:plain
このとき、ようやく窓枠がもとの銀色に戻った。

そしてさらに4年が経過した2016年、新型ロマンスカー70000形の開発が発表された。
入れ替わりに、LSE車は2018年3月で全車退役する。

第2の人生を期待する声も多いが、現状ですら近年は故障がちで敢えて運用を減らしているところをみるかぎりこれ以上は酷というものだろう。
実働期間は38年と後輩のHiSE車、RSE車よりも長持ちで、先輩のSE車、NSE車の記録をも上回る大記録となった。

のこされた時間はあと1年、どうか最後まで無事走り上げてもらいたい。


小田急のほかの車両はこちら

参考資料はこちら↓
小田急ロマンスカー (キャンブックス)

小田急ロマンスカー (キャンブックス)


pixivのページはこちら↓

【鉄道】「小田急7000形ロマンスカー「LSE」(11連6種+創作6連)」イラスト/GK [pixiv]

*1:「あさぎり」は小田急線内では特急だったが国鉄線内は急行だったため、ほかの特急と区別するため「連絡急行」という種別を別に起こしていた。
小田急線では「急行」が一般列車の種別だったための措置である。
なお、過去に国鉄線内が準急だった時代には「特別準急」という種別だった。

*2:ほかにはLSE11連を増備してNSE車を置き換えそのNSE車を6連に短縮し、玉突きでSE車を置き換える案もあった。
(NSE車はもとから編成を6連に短縮することが可能な設計とされていた。)

*3:売店もしくはトイレを設置した電動車が必要と考えられる。