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あたまの中身は線路だらけ

ダイヤ論、配線論など鉄道に関する話題を語ります。鉄道車両のサイドビューを模した色々使える小さな画像「TrainChip」の公開も。

【TrainChip】小田急10000形ロマンスカー「HiSE」

※TrainChipについてはこちら

ほかの車両 参考資料 pixiv

開業60周年記念車両は颯爽と

1987年、小田急線開業60周年を記念するかのように、ふたつの新型車両が投入された。
ひとつは小田急初のステンレス車1000形(こちら参照)、そしてもうひとつがこの新型ロマンスカー10000形だ。
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愛称の「HiSE」は「High Super Express」の略。Highに特定の意味はないらしい。

前面展望席に連接11連と3100形NSE車以来の伝統を引き継いだが、当時のリゾート志向を反映したハイデッカー構造を採用、展望席以外も眺望性アップが売りだった。
(しかしこれは結果的に高速運転のための低重心構造を放棄した格好になった。)

もうひとつの注目が「走る喫茶室」に採用されたエントリーオーダーシステム。
注文を受けたら喫茶コーナーに情報を電送すれば戻るまでには注文の品がもう準備OK、あとはお客様にお届けするだけというスピーディーぶりだった。

その斬新ぶりをアピールすべく、塗装もこれまでとは違うシンプルでスピード感あふれるものとなった期待の新型ロマンスカーは、まず新宿から小田原までノンストップの「はこね」に限定投入された。

時代の変化で早くも斜陽

ところが、登場から5年もしないうちに大きな転機を迎えた。

複々線化工事が進まずなかなか混雑解消とスピードアップが実現できないなか、半ば箱根観光客専用ともいえたロマンスカーが本来急行で賄うべき主要駅相互の輸送も担うことになり、みるみる停車駅が増えていった。

そうなると迅速性に欠ける「走る喫茶室」はワゴンサービスにとって代わられ、せっかくのオーダーエントリーシステムが無駄になってしまう。
さらにはご自慢だったはずのハイデッカー構造も乗降時に手間が掛かり、途中駅での停車時間が延びる要因となってしまった。
リゾート志向が強すぎたがために、時代の変化に対応できなかったのである。

結局ロマンスカーの主力は、1995年に登場したビジネス色と汎用性の強い30000形「EXE」にとって代わられることになる。
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1996年、喫茶コーナー部のスピード感あふれる5本ラインは小田急伝統の山百合マークに変わった。

最後の“もうひと華”

しかし登場から15年が経過した2002年、HiSE車はふたたび脚光を浴びる。

皮肉にもそれは、ロマンスカーの花形を奪ったEXEがあまりに機能性を重視した仕様となったことで世間の持っていた小田急ロマンスカーのイメージと乖離してしまったことが原因だった。
家族と箱根観光に出かけた子供が、せっかく乗るのを楽しみにしていたロマンスカーが前面展望席のないEXEだとわかった途端「こんなのロマンスカーじゃない!」と泣いて駄々をこねるなんて、笑えない話もあったほど。

結果、ロマンスカーの人気が落ちただけではなく、箱根観光客自体の数までも減少させてしまったのである。

そこでEXEに代わるロマンスカーのイメージリーダーとして、HiSEが返り咲きを果たしたのである。

しかし世間のイメージに合致するロマンスカーの中でいちばん新しいのが15年選手のHiSEというのは、会社にとってはなんとも歯がゆく情けない話。
3年後、小田急は威信を掛けて「ロマンスカーの中のロマンスカー」として、50000形VSEを世に送り出すことになる。
こちら参照
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2001年に走った「イタリアンエクスプレス」。
日本・イタリア両政府の共同文化紹介事業が行われたのを記念して約1年間走った。

斬新さが致命傷になった。

2005年、鳴り物入りで登場したVSE2編成の代替として引退したのは、HiSE2編成だった。
まだ先輩の7000形LSEが全車現役で活躍していたにもかかわらず。

実はこの5年前に出来た「交通バリアフリー法」によってHiSEは息の根を止められていたのである。
あのハイデッカー構造がバリアフリー対応には大きな障壁となってしまい車体更新ができなかったのだ。

それでも引退した2編成は長野電鉄に第2の人生を見出すことができたのは救いとなる。
車体更新には厳しかった法律も、中古車両の購入に対しては比較的寛大だった。
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4両に短縮されて「走る喫茶室」もなくなってしまったが、箱根から信州に移ってなお湯郷へ向かう観光特急として活躍している。

残った2編成は、その後も最新形VSEや先輩LSEに伍して活躍を続けた。
そしてついに2012年春、後輩ロマンスカー20000形RSEや5000形通勤車と一緒に25年の活躍にピリオドを打った。

現在は先頭車2両と喫茶スペースのあった中間車1両が喜多見検車区で眠っている。
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しかし6両に短縮されたNSE車でも各形式区分で1両は残せたのに対し、HiSE車はすでに中間車1形式が全解体され消滅している(将来長電から買い戻したとしても復活不可)なのは残念でならない。


小田急のほかの車両はこちら

参考資料はこちら↓
小田急ロマンスカー総覧

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小田急電鉄スペシャルセット

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TOMIX Nゲージ 92845 小田急ロマンスカー10000形HiSE (ロゴマーク付き) セット

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